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72階

執筆者の写真: Sunao HiyamaSunao Hiyama

嵐がくる


遠くに雪を被った山


立ち上る虹色の積乱雲


美しい花火の音




72階の静かな寝室で、私はそれを見て


思わず外に飛び出した


開いたエレベーターに乗っていた赤い服の派手な女




「上へ登るのは恐ろしくないか」と聞くと


派手な女は「死ぬ時は死ぬわ」と言って


202階へ登っていった








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