top of page
検索

ヘドロ

執筆者の写真: Sunao HiyamaSunao Hiyama

私は 生きることが怖くて 死にました。 日曜日の朝。私は焦燥感と一緒に目が覚めました。 昼間は、家のことをしたり、後回しにしていた手続きや調べごとをしたりして過ごしました。 例えば、明日のことを考えてみると きっといつも通り仕事に行くのでしょう。 その日常は望ましいことでした。 では その後はどうでしょう。 私は色々なものを失ったり、培ったりしながら これまで生きてきました。

何が問題でしょう?

何も問題ではありません。 ただ、ただ、不安と焦りだけが、胸の真ん中でずっと ずっと、私を攻撃し続けるのです。

酷い悪臭の中、畑に撒いたヘドロをかきまわしながら、 私の胸の中で、私が 幼い頃の、青い空を遠くに見つめながら 群青の雲の下で当てどころのない悲しみに暮れながら 無理をして、今日をやり過ごすのです。 生活において 無理をしてはいけません。 生活の中で 笑えなくなってしまったら、 もうそこに留まっていてはいけません。 我慢をしていれば 足元のヘドロの中へ、ただ沈んで行くだけですから。

きっと私は多くを望み過ぎてしまったのでしょう。 自分を引きずり込んでいく汚く重く臭い足元を 首が埋まってしまうまで ただじっと、もしかしたら幻かもしれないあの遠い空を見つめながら あの頃はきっと幸せだったんだと 薄く掠れた希望を祈り 少しずつ、確実に ヘドロを飲んで死んだのです。


閲覧数:23回0件のコメント

最新記事

すべて表示

コウノトリ

この数ヶ月、毎日のように死について考える。 若い頃から歩き慣れた、畑道から空を見ながら。傍に立つフェンスに引っかかったロープを見つけると、それから目を逸らせなくなり、じっと食い入るように見つめる。 世界が断絶され、私と、ロープの存在だけが、そこに捨てられている。...

私は古い教室の窓辺にいた。 懐かしい夢だ。 学友とキャンバスを並べて、忙しく制作の準備をしている。 私が床に敷いていたそのキャンバスは、悲しいほどボロボロで、下地が剥がれていた。 所々干からびたテープの残骸が張り付いている。...

Hellig

私の名前は、ヘリッグ。 木の精霊、自由奔放な風の魔法使いだ。 私の住む幻想の森には、それぞれ個性豊かな人間が住んでいる。 描いても描いても納得のいく作品が作れない、悩める画家。 神出鬼没、マイペースな仮面のミュージシャン。...

                                  ©  ひやますなお 2023

 
 
 
bottom of page