top of page
検索

無有

執筆者の写真: Sunao HiyamaSunao Hiyama

更新日:2023年10月8日


スピーカーから聞こえる、ブツブツ音の放送。

無機質な、人の気配

水色のペンキが剥げた 空っぽのプール

強い風。新緑の芽生え。

天井の高い建物の静けさ

洗濯物の 光と陰

夢の狭間の気温20度。

世界が写真の中と重なる、ほんの数分、数秒間。

突然訪れる、私は許されている、という感覚。

ただ一人 静かに納得する。

今だけは 何も怖くない。


閲覧数:30回0件のコメント

最新記事

すべて表示

コントロール

それは多分、突然、ではなく 少しずつ、軋み始めていて 油断すると、ぐらりと崩れ落ちる 目眩がして ベッドに転んで 頭から毛布を被る 聞きなれたいつもの音楽で耳を塞ぎ 目を閉じて、じっと心の嵐が過ぎ去るのを待つ 大丈夫、大丈夫 あれは、今じゃない 今は見てるものも、何もかも、...

逃れ

ひとりで生きられる力が欲しい 腕がぞくりと震えて 自分の輪郭がまた見えなくなる 一口の熱い水に 引き戻される ひとときの自分 ひとりで生きられる強さが欲しい

風のはなし

オレンジ色の日差し あなたとの日 静かな日 触れる手は 柔らかく優しい 風が吹いて 暗い木が揺れた 私がどこか、遠い世界を見ていた横で あなたはそれを、恐ろしいと言った

                                  ©  ひやますなお 2023

 
 
 
bottom of page