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好きも嫌いもないけれど

執筆者の写真: Sunao HiyamaSunao Hiyama

好きも嫌いも ないけれど

あれからずっと、私は髪をのばしていた。

どこまでのびていくのかと

毛先を揉んで、指に絡めて遊んでみたり

私からあなたを奪ったあの人は

あなたが好きな、短い髪だった。

好きも嫌いもないけれど、ただあなたに嫌われたくて。

あなたを恨んだ歳月だけ、髪をのばした。

束ねた髪が、肩にかかっていると愛しく思えた。

ああ、私、長い髪が好きだったと気がついた。

きっともう あなたのことは

好きも嫌いもないから

これからは私の好きなようにするの。

好きなように生きるの。


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